手作り 観音堂
かつて上市町黒川にあった寺、花岡山本覚院(真言宗 千年以上の歴史を持つ古刹)が平成六年に失火で焼失し、諸般の事情から現地での再建を断念した。
平成19年三月末から寄進を受けた石動城跡遊歩道沿いの山頂 に再建工事を開始し、草や木々に覆われた土地の整備からすべて人力でのゼロからのスタートです。
建設にあたっては専門の大工さんに依頼しないで、近所の数人の木工大好き人間に声をかけて、彼らの日曜大工それぞれの得意技を生かしつ つ、冬は道路が閉鎖されることから本堂は雪下ろしを想定しない積雪に 強い正三角形の山小屋風の外観とし、扉や窓など大部分の材料はリサイ クル品を多用し、窓や屋根の一部には出荷検査不合格の新幹線車両用窓ガラス、参道口にある半鐘はガス炊飯器の内釡をひっくり返してぶら下 げましたが、これが結構柔らかい良い音がするのです。
頂き物のリサイクル品に合わせながらの建物のデザインは変更に次ぐ変 更でしたが全て彼ら協力者の土・日曜返上の奉仕で完成し、立地場所も相まって山小屋風の日本でも類を見ない寺が誕生することになったのです。
寺に至る林道は遊歩道として多くの市民に親しまれており、境内からは市内と立山連峰のパノラマが真正面に一望でき、小さいながらも多く の方々の協力で、完全手作りで再建できたことに、この寺の意義があるのです。
山頂の澄み切った空気と静寂の中で、散策の方々が気軽にお参りや休 憩ができる場になればと願っています。